人事の仕事の話ではないのですが、将来的にマネジメント職に就きたい人はどうやって部下の管理をするのかという点について体系的に教わっていない方もいるのではないでしょうか。
自分のやり方を通しているなんて言う人も多いと思いますし、誰かに教えてもらったことがないから自分で考えたという人もいると思います。
企業によってはマネジメント研修というものもありますが、研修で行っていることは精神論、部下との付き合い方みたいな研修もあったりして、あまりリアリティがない実務として使いづらいということもあるのではないでしょうか。
今回、マネジメントについて少し話をしようと思います。と言っても、僕もマネジメント経験が長いというわけでありません。
ただ転職を数回しているせいか、いろいろな上司と付き合う機会がありますので、そういった中で、「この人のマネジメントはとてもいい、というか自分でも使えるな。」というものがありますので、今回はその話をしたいと思います。
あまりにも基本的すぎるので、「この程度の事を書くな!」なんて思われそうですが、そう言わずまずは読んでみてください。
僕は基本というのはとても大事だと思いますが、できている人は多くないというのが持論です、改めて耳にタコができるくらい聞いてることかと思いますが、読んでいただければと思います。
みんなの仕事を収集する
自身の経験則からマネジメントとはこうあるべきだ、このようにすると部下の管理はうまくいくと言った俗にいう打ち手と言うのはあまり意味がないと最近思うようになりました。
客観的な事実から読み取って現象のみを使って分析する、つまりデータ収集と分析と言うのは仕事の基本であると思っていますし、それは部下のマネジメントでも同じだと思います。
目的は本人の棚卸し、業務分掌の見直し
みんなの仕事を収集する際の目的として部下に直接的にはっきりと言える事は、本人の棚卸しをするために部下の情報を収集するんだということ、それは部下のためになるということです。
自身の目標管理であったり、業務分掌の作成であったりと実施する側のメリットをはっきりと伝えたうえで、部下から現状の仕事を棚卸をしなさいという方が、収集する方が円滑に収集できると思われます。
ただ棚卸のために業務を洗い出しなさいと伝えても、自身の業務を見える化することを嫌がる人というのは必ずいるはずです。実は言うとそれがもう一つの情報を収集するとこの目的となります。
仕事を隠す人、しない人を洗い出す
仕事を洗い出すことをお願いすると、決まって言われるのが「こんなことをしていたら作業効率が落ちる」であったり、「何のためにやるのかわからない」であったり、「私はしない、したくない、しても意味がない」と言う人がいることです。
こういう人は社歴が長かったり、昇格することなくずっと同じ等級で滞留している人だったりします。
こういう組織にとって少し厄介な人を見つけ出して対策を立てるためにも「自分の仕事を棚卸しましょう」という指示を出すのは効果的です。
ではこういったあまり協力ではない人をいかに協力してもらうかという点についてはあまりここでは触れません。というか、「これだ!」という手がないからです。根気強くお願いをするか、口頭でヒアリングをするか、おだてて話してもらうか、その辺りの手を組み合わせて対応するのが良いかなと思います。
日次、週次、月次、年次に分ける
現場を洗い出す際に大事なことと言うのは日次の仕事であるかどうか、週次の仕事であるかどうか、それは毎月あるのかどうか、1年間を通してどういったことがあるのか、これらのことを洗い出していく必要があると考えます。
メンバー全員で共有することができれば1番良いのですが、もしそれができなかったとしても各自(業務で分かれていると思うので)に応じた年間の計画を作ってもらい、それを管理職が共有するというのがよいと思います。
カレンダー化して全員で共有し更新
部門のメンバーの仕事を期間という観点で区切ることの目的は管理という意味合いが強いですが、目的の本質的な部分は共有という観点の方が重要だと思っています。
誰が何をしているのかをはっきりさせることをみんなが知るということが大事になります。えっ、この人こんな仕事してるの?めっちゃ非効率やし、他の人は似たようなことをしているよって事にならないようにするためです。
常にイベント系、管理系の仕事についてはこの年間、月間、週間のイベントカレンダーを作って、全体で共有しダブりや漏れを見えるかすることをお勧めします。
課題を洗い出す
課題を洗い出すと言う事は一見難しいことのように思いますが、現状さえきちっと分析できていれば課題を洗い出すのは難しくはありません。
勘のいい人だろうが、勘の良くない人だろうが、現状を分析した時点である程度課題は見えてきているはずです。もう少し具体的に話をします。
なんでこうなっているんだろう、だけでは自分の範囲を超えない
これ、当たり前なんだけど結構見落としがちなことです。基本的に課題の抽出方法は、自分の経験や知識の中から、なんか違う、変だというところから始まります。
従って、自分の経験や知識以外のところから課題というのは生まれてきません。従って、課題抽出に「なぜ」という観点で考えると、漏れや抜けが生じる可能性があります。
それをなくすために知識をつけたり経験を得たりして、その経験や知識から判断をしていくことになるのですが、人間には限界があるので、知識や経験以外の漏れや抜けは生じてします。
そのためにも業務を洗い出し、グループ全体で共有するということが大事になってきます。課題抽出を行う人の数ををできるだけ増やす、またはいろいろな業務を知ることで、自身の業務の問題点や不具合を知るというのが目的です。
課題抽出の漏れや抜けをなくすためにできることとは
先ほどは課題抽出は持ち得る経験や知識からしかできないという話をしました。なので知識や経験を上げるために、部内で情報を共有するということを言いましたが、果たしてそれだけが課題抽出の漏れや抜けをなくすための方法なのでしょうか。
網羅できるとまでは言いませんが、勘を鋭くさせるための方法はあると思います。「あれっ、これなんか変」と思えるようにするということです。具体的には意図的に視点を変えることだと思います。
もし女性だったらどうするか、もし相手が違う人だったらどうするか、もし場所や時間といったシチュエーションが違っていたらどうするか、など課題を抽出する際の条件を意図的に変えることで、課題に漏れや抜けのないようにすると言うことです。
MECEの発想ではあるのですが、どうやって漏れや抜けやダブりをなくすかと言う時に使えるではないかと思います。
課題は自分事、問題は他人事と考えたほうがいい
課題を洗い出すために、これは課題なのかそれとも問題なのかについて悩むことがあるかと思いますが、人によってはあまり気にしなくて良いと考える人もいるようです。
ただコンサルタント出身の僕としては、問題と課題を明確に分けておかないと、後でややこしいことになるのでぜひ分けるべきだと考えます。
その時の観点は自分事として捉えられるのか、他人事として捉えられるのか、それともよくわからなないのか、この3つの観点で分けてみるといいと思います。
自分で解決できる事は課題として捉えてください。自分で解決できないことやどうしようもないことについては問題として捉えて無視するようにしてもいいと思います。
これをしておかないと、問題(自分ではどうしようもならないこと)に時間を取られすぎてしまい、結局何もできなくなると言うことが起こります。非常に非効率です。
ルーチンを洗い出し、不要と必要と分ける
ちょっと話が変わりますが、やるべき仕事とそうでない仕事を仕分けることも管理職としては大事です。
たいてい日本の会社はしなくてもよい仕事を平気でしています。みんなその仕事が必要ないと思っていなくて当たり前すぎてやらなくてもいい、実はやっちゃいけないと思っていないからです。
そういった仕事を見つけて不要であればしなくてよいという判断をすることはとても大事だと思います。
要不要の判断は複数で見て、リアリストが見て
業務の洗い出しをする際に、ルーチン業務を洗い出すのですが、そのルーチン業務が必要かそうでないかを見分ける判断は誰かに話をして必要かどうかを聞く。これが1番簡単だと思います。
また、聞く人も出来る限り現実主義者、またはめんどくさがりに聞くのが1番いいと思います。
女性でも比較的職位の高い人に聞くことや、男性で現実主義者だと思うような人に聞くのが1番です。
やらなくていいことを、見つけてやめるのは大変なことではありますが、できるだけマメにやっておくべきだと私は思います。
マネジメントとは「管理」であるということ
僕はマネジメントというのは管理そのものだと考えます。つまりマネージャーは管理以外はしてはいけないと考えます。
今の時代と逆行するので、あまり参考にする必要がない話ではあるのですが、本来管理職は管理業務に100%の力を割くべきだと思います。
もしくはプレーヤーとしての仕事についても、対役員向けの仕事であったりとか、管理職級の権限がないと難しいことに限定するべきだと思います。
なのでプレイングマネージャーの人たちも、できるだけ管理業務に時間を割くようにしましょう。プレイヤーとしてできる事は部下に任せてあげてください。その方が部下も仕事がしやすいと思います。
ただし収集したら責任持って対応しましょう
最後に大事なことを伝えますと、きちっと収集した情報や分析した事項については、責任を持って対応してあげてください。
部下に指示をして色々な資料を作ってもらったはずです。これを蔑ろにしてしまうと部下に失礼になります。
部下は上司の駒ではありません。手足ではあると思います。手足は労ってあげるはずです。ならば部下も労ってあげるべきですし、労わり方として部下の仕事は認め、評価してあげてください。
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