総務の仕事の中で僕が一番おもしろいと思うのは株主総会関係の仕事です。毎年同じことをするからあまりおもしろくない、やることがいっぱいあるからしんどい、会社法という縛りがあって自由度がない、とおっしゃる方もいるかも知れませんが、僕の考えはちょっと違っています。
会社法に準じて作成する中でも創意工夫ができ、総務が一番お客様に近づく瞬間だと思います。
今回はその株主総会の業務の中でも一番創意工夫がしやすいであろう、招集通知の作成について改善ポイント2つをご紹介したいと思います。
総務の皆様は一度読んでいただき、自社でもおこなるかなと思っていただけるのがこの記事のゴールです。
招集通知の創意工夫って何?

招集通知の中でも狭義の招集通知ではなくて、広義の招集通知であれば改善できるポイントというのはたくさんあります。
この広義の招集通知については招集通知を作成する上でサポートをしてくれる企業、例えば宝印刷やプロネクサスといった企業に支援を請えばいろいろな情報を教えてくれると思いますが、そういったサポートを受けることができない企業というのは、ここで情報を仕入れていただければと思います。
ポイントは、2点です。
- 招集通知のカラー化
- 取締役、監査役の写真付き
- (再任、新任のマーク)
上の2点がメインの創意工夫ですが、3つ目の()に書いているのは、2つのポイントをじっこすることができない企業でもできるであろうポイントですので、ぜひともご参考にしていただければと思います。
招集通知のカラー化とは
招集通知の内容をカラーで表示するのが招集通知のカラー化です。当たり前ですね。
これを行うときのポイントはコストパフォーマンスです。どうしてもカラー化すると印刷台がかかってしまいますので、単色刷りよりも高額になります。招集通知を作成することによって売上がでる、利益が確保されるというわけではありませんので、単純にコストアップとなり、なかなかカラー化を導入することができないという事情があるようです。
招集土といのは、広告宣伝的な役割になりますので、コストを掛けることによって得られる効果の測定というのが難しいです。この辺が予算化しずらくて二の足を踏む理由になってしまいます。
ポイントとしては、カラー化することによって得られるメリットを十分に説明することだと思います。招集通知をカラー化するとグラフがわかりやすくなったりします。視認性が上がるということが大きなメリットだと思います。また招集通知内で商品の写真を掲示する時には商品がわかりやすいなどもメリットだと思います。
また、2つ目の創意工夫の欄でも書いていますが、取締役および監査役の顔写真を掲載するということと関連が強いです。顔写真を掲載するならばカラー化するのがいいと思います。
カラー化を推進するために会社の承認を得るために、他の企業の動向などを気にする企業だと、データを示すと良いと思います。証券会社などがこうしたデータをきちんと開示されていますので参考にされるのがいいと思いますが、今回は2017年10月に全国株懇連合会が出している平成29年度全株懇調査報告書のデータを参考にします。

完全なカラー化は、21.2%とまだまだ数字としては低いです。ただ、2色刷りや3色刷りの数字と合わせると4割を超える企業が単色刷りをやめていることがわかります。
また過去のデータをみてみると、平成28年度では17.8%、平成27年度は15.7%と年々増えていることがわかります。こうしたデータを参考にしながら予算化を推進するというのもありかもしれません。
データを重視する企業はたくさんあると思います。視認性がいいんだ!、みやすくなると株主のためになるんだ!という説得で上が認めてくれるならばそのやり方でもいいと思うのですが、なかなかそうはいきません。なので、データを使って、今はたくさんの企業が行なっているだからやる価値があるんだという説得をしてみてください。
取締役、監査役の写真付き
最近の株主の傾向は内部状況の見える化です。企業がどうした経営を行っているのかということをとても知りたがる傾向にあります。その流れにそって、大企業は積極的に情報を開示しています。
こうした傾向は経理情報を開示するだけではなく、その他の情報も見てみたいと思っているようで、これが株主の本音のようです。
そのために企業としては近年、取締役や監査役の顔写真を招集通知に掲載して経営の見える化の一つとして取り組んでいる企業もあるようです。
どれくらいの企業が行っているのかここで少し公開しようと思います。また全国株懇調査報告書からの抜粋です。
平成29年度の調査では21.2%となっており、過去2年のデータと比べても少しずつではありますが、アップしています。

やはりこのへんの情報開示はトレンドになっているのでしょう。
この取締役や監査役の顔写真のアップに関するデメリットですが、コストアップにはあまりつながらないので、こうした顔写真の掲載を感覚的に嫌がる取締役や監査役がいると厄介です。感情論で嫌だと言われちゃうとどうしようもないので。なので、こうした方にはデータで説得をするというのが手ではないでしょうか。
(再任、新任のマーク)

招集通知のカラー化や取締役、監査役の写真付きなどの創意工夫をご紹介しましたが、どうしても無理、できない、いろいろと役員から反対を受ける企業の総務の方にはこれをおすすめします。
それが、取締役や監査役の選任議案における新任と再任マークです。
株主の方々は、公平性というキーワードをとても良く好みます。例えば監査役が何回も再任されているということについては、公平性の観点に立ったとき、あまり良い状況ではないという判断をされることがあります。
なので、取締役や監査役の選任議案にこの役員は新任なのか再任なのかというフラグが立っていると、株主の方々はその情報をもとにして選任するかどうかの判断をするというわけです。
株主にとって有益な情報を提供するというのも、招集通知の目的でもありますので、こうした新任や再任と言った情報はとても大事だと思います。
これだとコスト的になにか変わるということもありませんし、新任や再任と言った情報は新たに付加する情報でもありませんので、そういった意味でも、手軽に簡単に招集通知のレベルアップに寄与できると思います。
招集通知は常に時代の最先端に通じているべきだと思う
ここからは個人的な考えになるのですが、招集通知というのは総務ができる顧客サービス(株主へのサービス)の最たるものだと思います。
なので、できるだけわかりやすくするべきだと思うんです。その一つはカラー化だったり写真掲載だったりします。
僕は、動画配信をしたりするのもいい手なのかなと思ったりしています。なかなか手間がかかりますし、総務だけができる仕事ではないので難しいかもしれませんが、株主に発信する方法というのは今後もどんどん進化していくと思います。
自分の企業が有名ではない、東証に上場していない、一部上場ではないからと言って、招集通知に記載する情報の質が低くても良いという理由にはならないと思うんです。
株式会社として、株主が存在し、その株主の出資の上に成り立つ会社として、十分な情報開示は企業としての責任だとも思います。
そういった事を踏まえていただき、ご自身の企業の招集通知についてご一考頂いても良いのではないかというのが僕の意見です。
ぜひご参考にされてみてはいかがでしょうか。
コメント