ノーレイティングにはご注意を。下手に導入すると痛い目にあいます

最近、人事の評価制度の仕組みにノーレーティングというものがあるそうです。簡単にいうと、評価をしないというものらしいのですが、このノーレーティングという仕組みは導入するのであればそれ相当の覚悟と準備がいる仕組みだと思います。

今回はこのノーレイティングの仕組みについてご紹介し、導入方法や導入のときのポイントなどをご紹介したいと思います。

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日本企業における評価の問題について

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まだ自分は管理職として評価をしたことはなく、管理職の代わりに一次評定をしたことがある程度ではあるのですが、評価というのは管理職にとって一大イベントです。というかとてもたくさんの工数をかけて評価を行います。

僕が工場の人事担当をしたときの話ですが、製造部の職長さんは約100名近い部員の評価を行っていました。100名の評価を行うというのは結構な時間がかかります。評価の際にはコメントを入れるのですが、一人あたり10〜15分の評価を行うと1500分、つまり25時間近くかかります。その後評価の調整を行うのに、100名ですと2時間近くかかります。ここから複数の職長が集まって製造部の評価の調整を行うのですが、職長さんの数によって調整の時間は違ってきますが、だいたい3時間近くかかると思われます。つまり一つの部で評価を決めるのに、一人の職長さんがかける時間は30時間かかると見ていいと思います。つまりまるまる3日は評価の調整に取られることになります。

これだけの時間がかかるわけですが、どうしても職長さんたちは業務終了後にこの評価の仕事を行うことになります。管理職というのはこの評価のときに大きな負荷がかかるということになります。

ノーレイティングは評価の時間がない

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このノーレイティングというのは一体何なのでしょうか。ちょっと解説したいと思います。

ネットでもいろいろと出ていますので、その中から抜粋して説明したいと思います。

「ノーレイティング」(No Rating)とは、年度単位の業績に応じて社員をA、B、Cなどとランク付けする年次評価(レイティング)を廃止すること。また、そのような人事評価の新しい動きを意味する言葉です。

評価をしないというわけではなくって、ランクを付けないという意味です。これ言葉があんまりよくないと思います。まるで評価をしないという意味に捉えられかねません。

でも、このノーレイティングですが格付けしないであればどうやって次年度の給与や賞与の金額を決めるのでしょうか。また、昇格や昇級はどうなるのでしょうか。

ノーレイティングですが、今の日本の企業では昇級や昇格のためにはレイティングをしなければいけませんので、レイティングは行うのですが、年度末に時間をかけてレイティングをするのではなく、常に継続して部下のフィードバックをすることで、わざわざ年度末に格付けをしないという意味で使用されています。

でも、このノーレイティングには気をつけないといけないことがたくさんあります。またノーレーティングを行うことにより、より管理職の方々は別の意味で大変なことになります。管理職の管理という観点が強くなるということです。ではそれはどういうことなのでしょうか。ちょっと説明します。

常に部下をフィードバックする必要性

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ノーレイティングというのは、一年に一回または二回といったタイミングに評価をするということをやめて常に部下にフィードバックを続けることをいいます。

ネットでは、評価をしない、S評価やA評価といったことをしないというふうに捉えられがちですが、これは僕は間違っていると思います。

その理由は、給与や賞与を決めるのに、評価は必要だからです。海外では、いきなり部下に給与や賞与を決めるという風潮があるので、ノーレイティングは評価をしないということらしいですが、日本ではマネージャーがいきなり部下の給与や賞与を決めることはしない、というかできないので、日本のノーレイティングは評価はするけど、常に部下を評価し続けるという意味の方が良いと思います。

日本で欧米版のノーレイティングが出来ない、難しいわけ

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今回、ノーレイティングについて少し説明をしましたが、今の日本企業ではノーレイティングは実現しません。というか難しいと思います。そのへんについて理由を2つ説明します。

管理職は給与を決められない

ノーレイティングは評価をしないので、管理職が部下の昇給を決めなければいけません。欧米では年収という考え方ですので、昇給度合いも、年収の増減を決めるので、まだマネージャーが決めることができます。

ただ、日本の場合は、給与と賞与とが別れているために、単純に金額をアップする、ダウンするというわけにはいきません。

また給与を減らすというのは組合との関係もありなかなか難しいです。

給与や賞与を決めるのは管理職ではない、管理職の仕事は給与と賞与につながる評価をすることであるというのが、日本の管理職の仕事ですので、このノーレイティングにはあまり向かないと考えられています。

管理職が常にフィードバックをするわけではない

皆さん、仕事において誰からフィードバックを受けていますか。先輩ですか同僚ですか?それとも課長??

基本的に日本の企業は自分の直接上の方からフィードバックを受けることが多いです。この直接上の方が管理職であれば良いのですが、管理職ではない方からフィードバックを受けることは直接自分の給与や賞与につながるフィードバックではないので、受けた事項が自分の本当に役に立つことなのかちょっとわかりにくいです。先輩からはAという指摘を受けたのに、評価者はBという指摘をしている。部下としては仕事をする上では先輩なのでAという指摘について改善をしたほうが良いのですが、Bという指摘をしていないので、評価は下がってしまう可能性もあります。

これは、結構大事な話だと思います。人によっては通常の評価だってこの弊害はあるだろう、とおっしゃる方もいるかも知れませんが、通常の評価は1年間に1回、2回ですから、先輩がAと言ったりBと言ったり半年、一年の間でいろいろな指摘を行うので、Bという指摘もいずれは本人の耳に入るでしょうから、管理職としては自分が変えてもらいたい内容をいつか本人は聞き入れることになります。それが1ヶ月後か2ヶ月後か半年後かはわかりませんが。

日本でノーレイティングを実現させるためにはモディファイする

ノーレイティングをレイティングしない評価制度として見ずに、上司と部下の円滑なコミュニケーションの機会と捉えるのが良いのではないかと思います。

つまり、ノーレイティングのレイティングしないという面よりも上司と部下が常にコミュニケーションを交わしながら評価をしていくという面に注目するということです。

上司および部下には新しい評価制度として常に上司と部下でコミュニケーションを取り、上司は常に部下を見て評価をすること、部下は常に上司に対して自身の成果をアピールし、常に情報を発信するということを評価の仕組みとするわけです。

これによって副次的な効果は、上司がレイティングをする時期(年に1回、ないし2回)の時に、わざわざ部下を評価するための情報を収集するという手間が省けます。この部下はこうしたやり取りをしておりいいアウトプットを常に出している。またはほうれんそうをみつに行っているということがレイティングまでの間でわかるので、評価をしやすくなるということです。

もともと日本企業は上司と部下のコミュニケーションが密な組織でした。今はそういったことが少なくなってしまっているかもしれませんが、今の管理職の方々は昔、自身が管理職の方々にしていただいたことを思い出しながらで結構です。密なコミュニケーションを再び取ってください。

人事は管理職のコミュニケーションを積極的にサポートしましょう

こうした制度の中で人事は何ができるでしょうか。

まずは、制度について十分な理解ができていない管理職がいないかどうかをチェックしましょう。そのためには管理職のために、研修をしてあげてください。忙しい管理職のためにノーレイティングの評価制度の説明を複数回に分けて行ってあげてください。

例えば、(1)制度の概要について(1H)、(2)具体的な評価の仕方(2H)、(3)QA(1H)というプログラムを組んでみてはどうでしょうか。4時間の研修ですから半日です。それを複数回行って上げてください。上司のスケジュールにある程度沿ってあげた研修の機会は出席率を上昇させます。

次に、個別に上司に来ていくというのもいいと思います。上司にメールを出してみましょう。大丈夫でしょうか、うまく行っていますか?質問があればいつでも受け付けますと。そうしたことで上司は少し聞きやすい環境ができますので、もしかしたら人事に対して質問をしてくれるかもしれません。

上司向けにメールマガジンを出してもいいと思います。研修で行った内容をもう一度思い出してもらうために、簡単にメールで研修内容を記載して発信してもいいと思います。

そういったようにノーレイティングの仕組みをどんどんと浸透させてください。

ノーレイティングではなくコミュニケーションレイティングを

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ノーレイティングという言葉が先行してしまっていますが、僕としてはより上司と部下がコミュニケーションを交わすための人事評価としてコミュニケーションレイティングという言葉をあえて使おうと思います。

人事評価において上司がつける評価というのは一歩間違えると部下にとっては納得し難いものになるケースがあります。そういったことがないように、上司は部下と常にコミュニケーションを交わし、自身がつけた評価の理由を明確にしておきましょう。また部下が「自分の評価が相当ではない」ということを言ってきた際に、なぜそのような評価にしたのかについて明確に回答ができるようにするためにも、常に部下の行為に目を光らせて、自身のつける結果にきちんと理由付けをするようにしたほうがい良いと思います。

上司の皆さんは、できる限りコミュニケーションレイティングを推奨してください。そして人事の方々はその評価制度を支援するような人事施策を展開してください。

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